テディはいつもいじめられている子どもでした。
ぼーっとしていて、近くに寄るとくさいにおいがしました。
誰も彼のそばに行こうとはしませんでした。
テストはいつも最下位でした。
ある日、トンプソン先生は、テディの生活記録を読みました。
彼は優しい子でしたが、3年生の時に母親を亡くし、その後父親が家出をしてしまいました。
叔母に育てられていましたが、虐待されている恐れがあったのです。
ここまで読んだトンプソン先生の目には、涙が浮かんでいました。
とても胸が痛み、テディに対する教師としての使命感を感じました。
その時から先生は、放課後、個人的にテディの勉強を見始めました。
クリスマスの時期になりました。
テディが先生に贈ったプレゼントは、イミテーションのダイヤモンドのブレスレットと、手あかのついた使いかけの安物の香水でした。
ブレスレットはほとんどの石がはがれ落ち、香水もほとんど残っていません。
生徒たちはそれを見て、大爆笑しました。
しかし、トンプソン先生は皆の前でそのブレスレットをつけてこう言いました。
「きれいでしょ? 先生は、こういうブレスレット大好きなのよ」
そして、香水を振りかけてまた言いました。
「先生はこの香りが一番好き。テディ、ありがとう。最高のクリスマスプレゼントよ」
生徒たちから、ばかにしていた表情が消えました。
テディは、先生に抱きついて言いました。
「先生、ありがとう。そのブレスレットは、お母さんが生きていたころつけていたブレスレットなんだ。香水もお母さんが使っていたものなんだよ。使ってくれてありがとう。先生からお母さんのにおいがしてうれしいよ」
それから6、7年が過ぎたころ、トンプソン先生宛てに一通の手紙が届きました。
高校を卒業したテディからでした。
「愛するトンプソン先生。高校卒業の知らせを、先生に一番初めに知らせたかったのです。僕は、クラス2位で卒業しました」
さらに4年後、もう一通の手紙を受け取りました。
「愛するトンプソン先生。僕は、学年1位で大学を卒業しました」
さらに4年後、また手紙が届きました。
「愛するトンプソン先生。僕は医大を卒業し、医師になりました。かっこいいでしょ? そして、今度結婚します。僕の母親が早くに亡くなったのは知っていますよね。結婚式で、母親の席に先生が座ってください。僕にとって先生はお母さんですから」
(『自信感』より)
「子どもたちよ。私たちは、ことばや口先だけで愛することをせず、行いと真実をもって愛そうではありませんか。」(聖書/ヨハネ第一3:18)
私たちも神様から使命をいただいて、隣人を愛し、その人生にかかわっていきましょう。
私たちがイエス様から愛されたように、私たちも隣の人を愛しましょう。