日曜日の朝、ハドソンは船長のようすがおかしいことに気づきました。
聞いてみると、船が強い潮流にひかれて、
暗礁にぶつかろうとしているというのです。
「もう、かなり近くまでひき寄せられています。
できることはみなやってみました。後は待つばかりです」
と船長は絶望的な声で言いました。
それを聞いたハドソンに、ある思いが与えられました。
「いつも決まって日没の頃に吹き出す風が、
今吹いてくれさえしたら、自分たちは救われるのだ。
もちろん自分たちに風を思いのままに動かす力はないが、
神ならばいつもより早い時刻に風を起こすことがおできになる」
「まだ、私たちのしていないことがあります」、ハドソンは静かに言いました。
「ええっ、! ? 何ですか、それは」。船長は驚いたように聞き返しました。
「祈ることです。救い主を信じる人が心を一つにし、
神が今、風をお送りくださるように祈るのです。
神は夕刻に風を吹かすと同時に今、風を起こすことも容易におできになります」
と神への信頼にあふれて言いました。
船長はハドソンの申し出に同意し、同乗していた4名のクリスチャンと、
神様に風を起こしてくださるよう祈り始めました。
しばらく祈っていると、ハドソンに「神は必ず風を送ってくださる」
という確信が与えられました。
そこで彼は再び甲板に立ち、待機していた一等運転士に向かって、
強い確信に満ちて「もうすぐ風が吹き始めますよ」と言いました。
上を見上げると、一番高い帆のすみが、ハタハタと揺れているではありませんか!
帆は風を受けてふくらみ、船はゆっくりと、危険な方向をそれて進んでいきました。
みなの目は神を信じる者だけが体験できる喜びに浸っていました。
たとえ現状がどうであれ、信仰あるところに主は働かれるのです。
「神にとって不可能なことは一つもありません。」（聖書/ルカ1:37）
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