「獄中の奇跡」 L.i.C

日本の敗戦後、極東国際軍事裁判(1946年5月~1948年11月)、
いわゆる東京裁判が行われました。
そして、その時にたくさんの戦犯に死刑がいいわたされました。
多くの国民は戦犯に対して、冷たい態度をとりました。
そのような中、戦犯たちに心を砕いて仕えていた宣教師たちがいました。
そのうちの一人に、アイリーン・ウェブスター・スミスという女性がいました。

ある日アイリーンのところへ戦犯である西澤氏の奥さんが訪ねてきて、
彼に福音を伝えて、罪の赦しを得て、平安の中で死刑を受け、
天国で再会できるよう、導いて欲しいと頼みました。
アイリーンは西澤氏に面会を申し込み福音を伝えました。

はじめは、自分の犯してきた罪の重さゆえに、救いを受け入れることを拒んだ彼も、
「イエス・キリストの血潮はすべての罪から私たちをきよめ、神様の前に赦されない罪はない。
キリストの贖いのゆえに赦されない罪はない」ということばを聞いて、キリストを信じ受け入れ、
獄中でバプテスマを受けて救われました。それを聞いた奥さんはとても喜びました。

それから、一週間もたたないうちにGHQ占領軍の方からまた
アイリーン宣教師のところに連絡が来て、
「柴野という戦犯があなたに会いたいと言っている」というのです。
何の面識もない人物でした。実は今や罪赦された喜びを爆発させている西澤氏が、
拘置所の中で他の戦犯たちにキリストの福音を伝えていたのです。

柴野氏は「私も救われたい。私も避けられない死を前にして、永遠のいのちがほしい。
罪が赦されるということを経験したい」と言って、
あと1回しか残っていない家族との面会のチャンスをアイリーン宣教師に充てました。
アイリーンは柴野氏に福音を語り、
彼はたった1回の面会でイエス・キリストをはっきりと信じ救われました。

そしてまた次の人が面会を求めてきました。
今度は柴野氏が救いの喜びを伝え始めたからです。
こうしてこの東京裁判の巣鴨拘置所の中では
次々と戦犯たちがキリストに導かれ、14人が救われました。
そして、その中の少なくとも13人は、獄中でバプテスマ、つまり洗礼を受けたのです。

西澤氏は言いました。
「私の今の心残りは家族でまだ救われていない者がいることです。
彼らのためにどうぞこの福音を宣べ伝えてください」。
何と間もなく処刑される自分のことより、未だ永遠のいのちを持たぬ家族のことを心配していたのです。
アイリーンと西澤氏は二人で祈りました。
二人をじっと見張っていた看守はヘルメットを外して、自らも深々と頭を下げながら祈りました。

最後の面会が終わって出ようとすると、その看守が出口まで付いて来て言いました。
「私は日曜学校に通っていましたが離れてしまいました。
しかし、巣鴨で次々と絶望の囚人たちが輝いていくのを見てもう我慢がなりません。
私たちにも福音を語ってください」。こうして憲兵隊の中に聖書研究会が出来ました。
そこで沢山の憲兵隊がクリスチャンになり、後に伝道者、宣教師となって日本に来たのです!

その後、西澤氏と柴野氏が処刑されました。
その翌日に、ある将校がアイリーンのところに会いに来ました。
「昨日、あなたが導いた死刑囚たちが処刑されました。その最後はみんなに賛美歌を歌ってもらい、
『神がともにおられる。死ぬのではなく、ふるさとへ帰る』と言いながら、
聖書を抱きしめながら処刑されました」。

その報告を聞いたときに彼女は祈りました。祈り終えて目を開けると、その将校も祈っていました。
そして、「私も救われたい」と言うので、その場で彼をキリストに導いたのです。

「光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった」(ヨハネ1:5)

~ブログ/八王子チャペルより~
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◆奇跡を見た医者ルカが、イエス様にであった人々に話しを聞きに会いにいって書き記した取材ノートを題材にした小説。
こうして、ルカの福音書、使途の働きはできた!これを読むと、聖書がぐっと身近になる一冊。

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