一人の王がある朝、自分の庭園に行ってみると、
どの草木も元気をなくして死にかけていました。
王は、入り口近くに立っているならの木にその理由を尋ねました。
ならの木は「自分は松の木のように背が高く伸びないばかりか、
立派でないから生きているのがいやになった」と答えました。
それでは、松の木なら大丈夫かなと松の木に尋ねてみました。
松の木は「ぶどうの木のように実を結ぶことができないから、
生きがいがなくなった」と答えました。
ぶどうの木は「桃の木のように一人で直立して、
見事な実を結ぶことができないから、やけくそになった」
ゼラニウムは「ライラックのように香り高くないから」と言ってすねました。
王は最後に、三色すみれのところに来ました。
その輝いた顔は、いつものように嬉しそうでした。
「おや、三色すみれ! だれもが皆、がっかりしているのに、
君は少しも失望していないようだ」
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