「最上のすみれ」 L.i.C

一人の王がある朝、自分の庭園に行ってみると、

どの草木も元気をなくして死にかけていました。

王は、入り口近くに立っているならの木にその理由を尋ねました。

ならの木は「自分は松の木のように背が高く伸びないばかりか、

立派でないから生きているのがいやになった」と答えました。

それでは、松の木なら大丈夫かなと松の木に尋ねてみました。

松の木は「ぶどうの木のように実を結ぶことができないから、

生きがいがなくなった」と答えました。

ぶどうの木は「桃の木のように一人で直立して、

見事な実を結ぶことができないから、やけくそになった」

ゼラニウムは「ライラックのように香り高くないから」と言ってすねました。

王は最後に、三色すみれのところに来ました。

その輝いた顔は、いつものように嬉しそうでした。

「おや、三色すみれ! だれもが皆、がっかりしているのに、

君は少しも失望していないようだ」
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「偶然と見ない」 L.i.C

「神のなさることは、すべて時にかなって美しい。神はまた、人の心に永遠を与えられた。

しかし人は、神が行なわれるみわざを、初めから終わりまで見きわめることができない。」

(聖書/伝道者の書3:11)

16世紀の日本では、キリシタンが短期間に増えていきました。

それを脅威に感じた豊臣秀吉は、バテレン追放令を出しました。

さらに京都の教会から特に熱心な26名を選び、見せしめのために処刑することを決めました。

役人が教会に踏み込んで、名簿を開き、処刑する一人一人の名前を読み上げました。

殉教を覚悟していた彼らは、名前を呼ばれると素直に前に出て来ました。

その名簿の中で「マチヤス」という人を呼んだ時、返事がありませんでした。

マチヤスさんはその時、買い出しに行っていて留守だったと言われています。

その時、代わりに「ハイ」と返事をする者がいました。

その人は、名簿に載ったマチヤスさんとは別のマチヤスさんでした。
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